シーシャバーの許可について

シーシャ(水たばこ)バーの人気が高まる一方で、「普通の飲食店と同じように開業できる」と思っている方も少なくありません。実際には、たばこ事業法・健康増進法(受動喫煙防止)・食品衛生法・風営法・消防法などが重なり、手続きが複雑です。

本記事では、シーシャバー開業・営業に必要な主な許認可・届出を整理します。東京都内を中心に説明しますが、基本的な考え方は全国共通です。

必要な手続きの全体像

シーシャバーには主に以下の手続きが関係します。

製造たばこ小売販売業許可または出張販売許可は、たばこ事業法に基づき、財務局(税務署経由)が所管します。シーシャを提供するためにほぼ必須です。

喫煙目的施設としての要件充足(標識の掲示など)は、健康増進法および東京都受動喫煙防止条例に基づき、保健所・自治体が所管します。店内で喫煙させる場合に必要です。

飲食店営業許可は、食品衛生法に基づき、保健所が所管します。飲食物を提供する場合にほぼ必須です。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出は、風営法に基づき、警察署が所管します。深夜0時以降に酒類を提供する場合に必要です。

防火対象物使用開始届や防火管理者選任などは、消防法に基づき、消防署が所管します。店舗の規模や火気使用の状況により必要になります。

この中で特にハードルが高いのが「喫煙目的施設」として認められることと、たばこ関連の許可です。

1.  たばこ事業法(最重要)

シーシャ用のフレーバー(葉)は法律上「製造たばこ」に該当します。店内で提供・販売するには、以下のいずれかの許可が必要です。

製造たばこ小売販売業許可(自らたばこ屋になる)は、既存店舗との距離制限や予定販売数量などの要件があり、繁華街では取得が難しいケースがほとんどです。

出張販売許可(既存のたばこ小売業者から出張販売してもらう)は、実務上こちらが主流です。すでに小売許可を持つ事業者と業務委託契約を結び、自店を「出張販売所」として登録してもらう形になります。距離制限が緩和されるため、シーシャバーでは一般的です。

ノンニコチンの製品であっても、たばこ代用品として扱われる場合があり、20歳未満への提供や立入規制はかかります。

2.  健康増進法・喫煙目的施設

改正健康増進法により、飲食店は原則屋内禁煙です。店内でシーシャを吸えるようにするには、「喫煙目的施設」(喫煙目的店)として認められる必要があります。

主な要件は以下の通りです。

店内でたばこの対面販売を行っていること(出張販売でも可)。

通常主食と認められる食事を主として提供していないこと(ラーメン・カレー・パスタなど主食中心のメニューはNG)。

技術的基準を満たすこと。出入口で室外から室内への気流が0.2m/s以上であること。壁・天井などで区画し、煙が外部に漏れない構造であること。煙を屋外に排気する経路を確保すること。

入口に「喫煙目的店」であることと「20歳未満立入禁止」の標識を掲示すること。

東京都の注意点として、東京都受動喫煙防止条例では、従業員を雇用する飲食店について国の経過措置(小規模店の喫煙可能室など)が使えません。したがって、都内ではほぼ「喫煙目的施設」として整えるしか選択肢がありません。換気設備は内装工事の段階で設計に組み込む必要があります。

3.  飲食店営業許可(保健所)

ソフトドリンクやアルコール、軽食などを提供する場合は必須です。食品衛生責任者の設置が必要で、厨房設備(二槽シンク、手洗い設備、換気など)の基準を満たし、保健所の検査に合格する必要があります。炭を使う業態のため、換気や排煙が特に厳しく見られる傾向があります。

4.  風営法関連(深夜酒類と接待リスク)

深夜酒類提供飲食店営業開始届出は、午前0時から午前6時までの間に酒類を提供する場合に必要です。用途地域(商業地域・近隣商業地域など)や店舗構造(見通しを妨げる高さ1m以上の仕切りがないこと、照度など)の要件があります。届出は営業開始の10日前までに警察署へ提出します。

接待行為に注意が必要です。スタッフが特定の客の近くに付き、継続的に会話やもてなしを行うと、風営法上の「接待」に該当し、風俗営業1号(接待飲食等営業)の許可が必要になる可能性があります。シーシャの炭の調整やフレーバーの説明程度の短時間の対応は問題になりにくいですが、特定客への継続的な接客はリスクになります。無許可で接待を行うと、罰則が強化されている点にも注意が必要です。

シーシャカフェのように酒類を提供せず、深夜0時までに閉店する場合は、深夜酒類の届出は不要です。

5.  消防法関連

炭を使うため、火気設備の届出や換気・一酸化炭素対策が重要です。収容人員が一定数を超える場合は防火管理者の選任・消防計画の届出も必要になります。開店前に消防の確認を受けるのが一般的です。

手続きの進め方のポイント

物件選定前に「喫煙目的施設として成立するか」を確認する(換気ルート、用途地域など)。

たばこ出張販売の協力業者の見通しを立てる。

換気・排気を織り込んだ内装設計を行う。

飲食店営業許可とたばこ関連手続きを並行して進める。

工事完了後に保健所・税務署の現地確認を受け、必要に応じて警察・消防の手続きを完了する。

内装工事が終わってから相談すると、換気設備の追加が困難になり、開業が遅れるケースが少なくありません。

まとめ

シーシャバーは「飲食店営業許可さえ取れればOK」という業態ではありません。特にたばこ関連の許可と喫煙目的施設としての要件充足が最大の関門です。深夜営業や接客の仕方次第では風営法の手続きも加わります。

ARS行政書士事務所では、風営法を中心としたナイトビジネス関連の許認可手続きを得意としております。シーシャバーの開業など、お気軽にご相談ください。

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